街の魅力を引き出すのは、客観的な視点と、熟知した視点。若者が暮らしたいと思う街をつくろう。

「まちづくり」をキーワードにいろいろ調べると、「高齢化」が問題となっている場が少なく無い。というか多い。
ただし、日本の若者の数が0になるわけじゃ無い。割合として高齢者が増えているという状況。

その結果としての政策が、ども選挙対策にしか見えない。

数の減った若者を取り入れようとするのでは無く、高齢者の為の施設の増設や、そうしたサービスの整備や補助。

これ、若者増えなくない?
というか、高齢者の為の街が出来るだけだよね?そりゃ高齢化するのが自然。

箱を運営したり、サービスを強化するにもお金が必要。税金として確保出来なければ国に頼るしかない。そこに若者が居なければ、自立できない自治体となるのではないだろうか?極論ではあるけれども。

冷静に考えたら、若手を増やす政策が必要じゃないか?

人口として全体的に若手が減ってる。というより高齢者の割合が増えていく(医療の進歩として病気などのリスクが減ってる。環境も良い。という意味で減らない結果)状況がある。(65歳以上の割合が増えるなか、後の30年後はどうなるのだろうか…。現在の40代も多いけどね。)

本来は高齢化問題に対しての、若手世代の奪い合いのはず。でもそうした政策って後回しであったり、老人に対して規模が小さかったり。
そんな街で若者は生活をしたいと思うのか?という単純な疑問。

誰もが必ず年をとる。高齢者という年代になる日は来る。だからといって、そこに焦点を当てた政策ってサスティナブルには見えない。

若手を失った街に未来が明るいとは言い難い気がする。

世界は狭くなっている。どんな環境であっても条件が同じであれば、どんどんと少しでも魅力的な土地へ出ていく。そこで生活をしていく事のハードルは低くなっている。『若手が未来を見出せる土地なのか?』それを突きつけられている。

そう、ライバルは国内の都市ではなく、地球規模に全世界なのだと思う。若者はフットワーク良い。興味や好奇心に対する正直さも明確。

自治体はその視点を持てるか否か?

老人向けサービスを手厚く揃える政治には、選挙的な問題があるのかもしれない。この老人天国な社会を描ければ、「65歳以上に住みやすく」なんてスローガンで当選確実になるだろう。

ただ18歳に選挙権が与えられた今こそ、若手に対する魅力的な街づくりが必要だ。

それは「箱」を作ることじゃ無い。お金を配ることでも無い。
唯一「やりたいと思うコトにチャレンジ出来る『街』」なのでは無いだろうか?チャレンジする為の環境は想像以上に難しくは無い。

子育ても仕事も、趣味や遊びだって充実した共存が出来る政策。地方ほど、そして規模が小さい街ほど、そうした未来を考えて実現させることが本来は容易いはず。

求められているのはひとつ。「若者が生活したい街」をつくる。

『「この街で生活してみたいな」と思う要素って何?』という疑問を持つだけで、それぞれその街の持つ魅力を大きな武器にできることに気づく。

それは今まで見られてきたイメージに固執するのではなく、ゆるやかに客観的な視点と、街を熟知した人間とのタッグが最強。

「未来が見え無い」と言う人の瞳に、爺婆の馴れ合いの上のやりたい放題な政治の現実が写っている。地方の都市で20代の意見が通りにくく、その解決案として海外に目を向ける状況をずっと見てきた。

東大に行って学生の発表を聞いてきた話。

東京大学工学部都市工学科4年演習ということで、CETエリアを対象にしたチームがあり、そのアテンドとして街を案内。街の方々の声を聞く機会をつくりつつ、グルっとお散歩。

その後、それをキッカケにして学生達は街を調査、新たにヒアリングを重ねるなどして、CETエリア(主に東神田)の都市再生案を作り上げます。
さすが東大生。短時間ながら、街の問題点を拾い上げているなという点に驚きつつ、出された提案も街に住む僕らが望むものだったりと、聞いていて面白い授業でした。

さて、東大が優秀という話ではなく、そんなキッカケで他のエリアを対象とした再生案が面白かったので、そのメモ。

対象となった地域、まず一つ目は「岩槻」です。

僕は2〜3度行ったことがある程度。大きな通り沿いに少し古びた看板で「人形の街。岩槻」とあった印象が強い。
まずは学生達の考察から。

岩槻は都市部へのアクセスが良くない。その上での居住についてのデータ。
公民館がエリアに対して偏りがち、移動手段がクルマのエリアでは駐車場も肝と。

ここに「埼玉の箱物三原則」というのが出てくる。
【ハコモノ三原則】「新規整備は原則として行わない」「施設の更新(建替)は複合施設とする」「施設総量(総床面積)を縮減する」
これに対応する提案である必要がある。と。

また、岩槻の住民は地元への愛着意識を持っているというデータもあるらしい。

で提案としては、「岩槻の産業としての観光」「居住者にとって使いやすい公共施設の整備」ざっくりと、そういうもの。

悪くは無いと思うけど、提案としては必然性が弱く感じた。

例えば、、、
・岩槻の住民が持つという地元への愛着について、その源が明確になれば良いなと思った。何が「魅力的」なのか?それは財産であり、新たな住人を呼び込む要素にもなると思う。また観光としても、それは大きな求心力を持つことになる。

・人形の街という答えがフワッとしてたので、そこに対して「将来の展望」が聞けると良かったなと思った。
「岩槻は人形の街である」ということは、全国的にどれだけ浸透しているのだろうか?またその生産量と売り上げ。若手の担い手、新たな可能性など。
それは地元の産業の見直しにもなり、面白い展開だってありえる。
ただ、これはコンサルティングの仕事にもなるけれど。

今後「高齢者施設や病院」が、供給を需要が上回ってしまうとのこと。
これに対しても、対策としては若手の新規人口を増やすことが解決策だと思うんだよね。

なんかそんな視点がちょっと薄いかなと感じました。

次に続いたのが「浦安」です。

空き地が多いので、そこを共有スペースとして活用させるという提案。
これはとても明確で、模型もあるくらい固まっていた。

これについて唯一もったいないなって思ったのは「川沿いに公園の様な施設」を作るという提案だったにもかかわらず、『川をうまく使えていなかった』こと。

このそもそもの整備費用の負担についてツッコミを受けていたけれど、例えば川に沿った空地が多いとのことなので、川を災害時の避難経路として整備し、そのための「防災船着場」を設けることを前提にしていくと、それぞれの空地の避難場所整備と、それらを川で結ぶルートの整備ができる。
とすると、予算も行政が用意しやすいのでは?とも思った。

整備された設備の持続可能なシステムとして、普段から使う様な仕組みなど。川を向いたロケーションと使いかたで、大きく現実味が出てくるのでは?と思ったりもしました。

次は「小布施」長野県ですよね?ここに僕は行ったことが無い。

ここは「耕作放棄地の増加」「非伝統的集落での生活増加」が課題とのこと。
活動の停滞、福祉体制も万全では無い。

どうしたら住み続けられるか?

空き地、空き家が増えるならそれを活用しよう!
放牧や野草や花で利用することで産業(Iターンなども視野に)で活用。観光にも魅力を産みそうだよね。

でも、これも岩槻と同じく「高齢化が問題なら、若い世代が移り住むアイディア」の方が良いと思った。

若い世代。自分たちと同じ世代が「小布施」に住むとするならば、『何が不安に思うか?』って点をクリアすれば、案外良い部分を見せるのは簡単かも。
ロハスとか言い出すと、ちょっと人種的にも偏るので、健全に無理なく様々な未来を観れる環境の整備が、実は強みを増すと思う。

しかし、どのエリアも高齢化(既に日本の問題)に対する答えが、高齢者向け施設という提案ばかり。それ運営する人やサービスを行う層が抜けるし、若手の仕事がそればかりだとしたら、果たして「若者が進んで移り住む」様な魅力的な生活なのか?否か?僕だったら考えるな。

そしてCET(東神田)を対象としたチームの提案

今までの商売(問屋業)の時代的な衰退。崩された場所へ新築マンションが建ち、新規住民が増えている。
(そんなことが現状かな?思い入れが強すぎてメモ取り忘れてました。)

シェアオフィス、シェアハウス、そしてトライアルの店舗をビル1棟マスター借りして用意する。それぞれの場所を使えるのは期間限定。しっかり家賃などで運営をしていく。
価格設定をエリアの平均より安く設定することで、トライアルで住むこと、オフィスを置くこと、店舗を開くこと。などを気軽に体験でき、更に『続けられる!』と思う人は、エリア内で開業してしまえば良い。その斡旋も行う。

提案としては◎だと思います。

ひとつ残念だったのは、対象となったビルが通常より高めで貸し出されていたこと。その数字を出してしまったことで、ビジネス的な計算が提案と合わなくなってしまったこと。(ここはこのエリアの平均金額と出すとよかったね)

でも、良い提案だし、現実性あると思う。
何より「この街に住んだ経験を持つ人が、この街に住み着くキッカケとなれば良い」という話はものすごく持続的な思いであって、素直に共感しました。

残るひとつは「高島平」でした。

ここは数回行ったこともあるし、よく近くは通る。高速乗っても団地群が目に入るし、なんとなく都心部との距離感も体感である。

ここも実はメモを取り損ねました。。。

コミュニティカフェなどはあるが、そこを使いにくいと思う人たちもいる。外を出歩く際に、休む場所がわからないとちょっと長い距離の散歩は脚が重い。

なので、このエリアの地図を作成。
その中に距離別のコースを提案し、途中で使えるベンチやコンビニ、カフェを明記することで、街に出歩きやすくする。という提案。

これは先生から言われていた「このエリアの歴史を解説してあげる要素が地図にあると良いのでは?年配の方は歴史の話と街歩きは魅力を感じるので、そこを突いてみては?」というのが、ものすごくツボ。共感しました。

ということで、全体的にレベルが高く面白い機会でした。
「自分だったら」って視点で、それぞれの街に対して考えるのも面白かった。
これから地方のエリア再生・活性化のアドバイザーとして仕事できたら面白そうだなと思う機会となりました。

やっぱり街に関しては「これ楽しいぞ」って見せること。理屈も大切だけど、魅力を語る際には「おもしろそう!楽しそう!」という面を無条件に体験させてあげることが、ひとつの解決策になる。と実感しました。

実はこれ、あまりやってないよね。
あまりにも魅力をアピールし過ぎて、理屈っぽく面倒臭そうな一面が見えてしまっている。それで集まる人たちも偏りがちなのでは?
理屈や根拠は背景としてしっかり持っていれば良い。表側はハードル低く、感情を誘導することが大切。バズる時ってだいたいそうだよね。

結論:いくら大切とは言えバックボーンの設計だけじゃ、人は集められない。バランスです。