欲しかったクルマを手に入れる。そこから見えてくること。

2013-02-23 21.52.38

追いかけるクルマはブランドにこだわるのも良い。少年の頃憧れたクルマを選ぶのも良い。街で見かけたあのクルマ、旅先で後を追いかけたあのクルマ。そんな一台があるのなら、必ず早いうちに手に入れるべきと思う。

もちろん身分相応な選択が必要でもある。とはいえ、それは妥協ではない。最良の選択のひとつ。

 

手に入れる手段は沢山あった

欲しいクルマの為に身を削ってお金を貯めるのも良い。その為にビジネスを成功させるのも良い。モチベーションのひとつとして、憧れのクルマがあるのも素敵なこと。

でも僕が選んだのは“いま入手できるクルマを探すこと”だった。手持ちの予算は限られるし、国産の大衆車を新車で得るのも難しい金額。ただ、ヨボヨボのジジイになって、スポーツカーの重いクラッチが踏めるとは思えなかった。

既に反射神経も20代に及ばず、ここからは視力でさえ下降線。と、するなら今だ。

クルマを手に入れる選択肢は沢山あることに気づいた。新車なら正規ディーラーだけれども、中古車なら個人営業の中古車屋さんもある。また、個人売買もある。個人売買の仲介をしてくれる中古車屋さんもある。

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僕が手に入れたフェラーリ モンディアルtは、業者オークションで出品されていたもの。業者オークションの会員である中古車販売店から聞き、そのディーラーの手数料を含んでも手持ちの予算内だったので購入。

そもそも「フェラーリに乗ってみたい」と子供みたいな事を話していて、それを覚えていてくれた中古車屋さんが教えてくれたのだ。言葉にした夢は実現する。

手元に届いたモンディアルは室内が想像以上に綺麗だった。外装の洗車とタイヤの新品交換。これはサイズが小さかったので安く済んだ。

メカに関しては最低限の知識。とは言ってもスターレットを整備してた大学時代の頃から変わらず。今はネットがあるから、必要な知識は手に入る。日々勉強。
その上で、近くに主治医を見つけた。そこはテスタロッサも入庫しているのを見ている。まずはメールで相談。12ヶ月点検としてなら1万円で見てくれるというので、安心料として預けてみた。

結局、年相応のブッシュのへたりは見えるものの不具合は無し。フェラーリにしては過走行なそれは、僕のドライビングテクニックの無さだけを見せつけてくれた。つまり、フェラーリサウンドも、走りもパワーも100%フェラーリだった。

 

オーナーになって知る世界。見える世界。

フェラーリに乗る。その経験がとてもあっけなく手に入ると、『購入前に修理代だけでも100万は用意しろ。』なんて書き込みに怯えていたのが馬鹿らしく思った。

燃費も良く、ドライバーのミスでプラグをカブらせる事がなければ、問題なく性能を発揮してくれた。そしてそれは僕のフェラーリへの憧れを一段と強くさせてくれた。

手に入れた上で見えてくる世界もある。手に入れて感じる思いもある。そして、手に入れなければ見えない世界がある。それは得て、乗って分かった。
自分のフェラーリに乗る人を見る目が変わった。

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モンディアルtは、その後フェラーリコレクターにバトンタッチすることとなった。一度徹底的に分解して整備、新車レベルでのコンディションに戻され余生を送っている。

乗りたいクルマは沢山ある。バトンタッチと共に得た資金で次のマシンを探す。
そんなカーライフもあると思っている。もう一度戻るクルマが、僕の生涯の一台。

オーナーに愛されたマシンは、新車以上の安心感がある。
特に年代物の外車はこのメリットは大きい。機械部分に当たりも出て、ウィークポイントは全て潰されているから。