「脱東京ゼミ」講師を務めさせて頂くにあたり、色々と考えました。
今までCET(Central East Tokyo)について、様々な取材依頼がありましたが、
私自身が人前に出て行くことは、基本的にありませんでした。
その立場が分かりにくかった事があると思います。
アーティストを探し、ブッキングする立場でもありません。
作品を展示発表するアーティストでもありません。
また、物件を所有し提供する立場でもありません。
作品を展示する人、その展示場所を提供する人。
イベントを客観的に見つめた際には、
その2者が出会う事でスムーズに進行し成功する様に思われがちです。
しかし、
作りたい人と、作って欲しい人。
その2者が出会っても良い仕事が生まれるとは限らず、
多くのケースでは、空中分解する事が見られます。
これはビジネスでも度々見られることです。
間に入る立場。
その立場は、時に仕事などでは悪者扱いを受ける事があります。
「何もせずに報酬を持って行ってしまう人間」などと。
でも、決して何もしていない訳ではありません。
分かり易く例えるとするなら、
2者の間に入ってお互いの「翻訳」をしているのです。
分かり易い例としては、
専門用語が出て来る場合、お互いが違う認識をしているコトがあります。
分かりきったキーワードも、全く異なった意味を持つ事があるのです。
例えば「HP」。
一部では「ホームページ」となり、一部では「ホスピタル」つまり病院となり、
一部では「ヒューレットパッカード」となる訳です。他にもあると思います。
また、その時の互いの温度というのも大切なポイントです。
同じ事を伝えるにしても、
伝え方によっては、喜ぶこともあり、怒ることもあり。
相手の状況や気持ちを把握した上で、内容を変えず意味も変えずに、
そして真実だけを、
相手に的確に伝える言葉、タイミング、方法が必ずあると考えてます。
電話なのか、手紙なのか、メールなのか、直接会いに行くのか。
「謝る時や、無理なお願い事は14時に電話が良い」などの話もありますが、
そういうタイミングって、とても大切なのです。相手も人間ですから。
ちなみに14時の理由は、昼食を終えお腹が一杯になり、
朝程忙しくも無く、少し眠くなっている時間だから。ということ。
一番おおらかであり、コトを難しく考えないタイミングと言われます。
話は大きく反れた様ですが、
実は私が行なっている動きは、上記の様なことなのです。
CETのイベントを運営する際、
毎回短時間で、時期や会場が決定します。
理由は色々あるのですが。
その限られた時間の中で、非日常的な状況を行なう訳ですから、
多くのトラブルが発生します。順調に進む事の方が少ないのです。
現場のテンションを削ぐ様な問題が起こるのを、
常に対応し、出来れば現場に影響が出る前に解決させる。
更には、周りの状況を把握しつつ、
起こりそうなトラブルを未然に防ぐなどの動きも必要です。
また、CET特有なのかもしれませんが、
アーティストと、地元の方々との話が通じない事もあり、
そこの翻訳が大変重要になっていました。
分かっている様で、間違って捉えられてしまうコトが最も危険です。
ただし、
そこが上手く動くと、面白い様に全てが上手く動いて行きます。
とてもエキサイティングですよね。
残念なコトは、上手く状況が動けば動く程に、
私の様な立場が外から、見えなくなって行くということ。
CETの場合、アーティストや街にスポットライトが強く当たるのです。
メディアもそういった視点で取材を行ないます。
スポットの当たった場所の動きが視聴者の興味なのです。
行政なども、そういった外から見え易い所に接触します。
所謂公金を使う訳ですから、
納税者に対して納得出来る様な理由が必要なのです。
言い訳程度の書類作りの為に過ぎませんが。
もちろん時に悔しいと思う事も多々ありました。
でも、
無事に事故もトラブルも無く、イベントが成功することが喜びですから、
その状況に満足が行かないという気持ちが大きくなるのなら、
もうそれは、既にその場に対する興味を失っている事と思います。
私はCETについて、いつも自分の立場を考えます。
CETは運営する委員会メンバーは、全員がとてもエキサイティングです。
発想も仕事も素敵な方々ばかり。
それぞれのジャンルで社会的にも活躍されています。
そんな方々が、どこからか報酬を受けるでも無く、
全員が各自で持ち出しをして行なうイベントは、他に無いと思っています。
一緒に動いていてとても面白い。一人じゃ出来ないことが出来てしまう。
予想を遥かに越えた企画を簡単に提案して来てしまう。
世界的な才能を持ったアーティストを見つけて連れて来てしまう。
その中心に居る事が、とてもエキサイティングなのです。
しかもこの立場は、関わる全員と接する事が出来ます。
インターンスタッフにさえ、顔を覚えてもらえる立場でもあります。
イベント時には厳しくしても、その後もコンタクトを続けてくれるのは、
今も継続した、喜びの一つになっています。
一言で言うと、黒子なのかもしれません。
黒子については、私はそれほど深く知りませんが、
観客が芝居に夢中になればなるほど、その存在は見えなくなって行きます。
それは黒子が良い仕事をしているというコトだと思います。
大成功の芝居の裏には、存在を消して仕事を行なう最高の黒子が居るのです。
私はその最高の仕事を行ないたい。
でも、そんな中で思う事。
私の様な動きをする方が必要な場は、多いのでは無いだろうか?ということ。
何かをやりたいコトを持った人と、何かをしてほしい場の人が出会っても、
それを継続し、成功させるには、その間に入る人間が重要だと思います。
その方がお互いが無駄な仕事を省く事も出来るのです。
やりたい事に集中出来ると考えています。
そういった考えもあり、
今回の「脱東京ゼミ」への講師依頼を受けさせて頂く事にしました。
私がこうした場でスポットを当てて頂くことで、
こうした動きをされている方々に気付いて頂きたいということ。
成功しているイベントや仕事の影に、必ず同じ様な方が居るのです。
そういう方々は表舞台には、なかなか出て来ませんので、
その切っ掛けになれば、嬉しいと思っています。
「で、あいつ誰なの?何している人?」という疑問が芽生えれば嬉しいのです。
勉強会的な場では、成功事例と共にステージの上の方々に注目されます。
本当に現場が見えていないと、私の存在は見えないはずですから、
私の様な立場の人間に焦点を当てた、
KOMPOSITIONさんの視点は鋭いと感じています。
あまりこんなコトばかり書くと、
この立場、地味で案外つまらなそうに聞こえてしまったかもしれません。
最後にそうでは無いことを書いておきたいと思います。
2009年12月。CETエリアでは「CET TRIP」というイベントを行ないました。
これはCETエリアに移り活動している方々が中心となり、
それぞれの場で企画を立てて、運営を行なうというイベントです。
このイベントを考えた際、広報についての問題が山積みでした。
しかし、良いタイミングで「IID(世田谷ものづくり学校)」で活躍する
元CETインターンから声掛けを頂き、同じ時期に開催される
「IID」の『WINTER MARKET』へエリア参加することで、
パンフレットに掲載頂く事となりました。
それに賛同してくれた、
CETエリアのメンバーも、私を信じてくれたからこそ実現出来た事です。
また、その「CET TRIP」の中で、路上ファッションショーを開催しました。
唯一の私が持ちかけた企画です。
でも、私は何もしていません。
ビルの場所を提供してくれた建築家でもあるオーナーと、話をしていたのが発端。
エリアのファッションデザイナーに呼びかけた所、快く参加を表明してくれました。
そのファッションデザイナーの呼びかけで、
スタイリストも協力頂けるコトとなりました。
驚く事に、同じ中央区にある銀座のモデルエージェンシーも、
無理な相談に対して、全面的な協力を約束して頂けました。
ヘアメイクも、CETエリアで出店される
ヘアサロン2店が協力を快く受けてくれました。
折角なので、
路上へもはみ出る様なスタイルでギャラリーの方々が集えると良いと考え、
管轄の警察署に相談し許可を頂けました。
それに必要な地元への動きなども、
ビルオーナーの事務所の所員が全面的に動いてくれました。
それを受け入れてくれた、地元の方々の協力も大きいです。
機材の協力や、八百屋からの差し入れなど、書き出したらキリが無い。
私は必要な動きや仕事を見つけ、
その都度解決してくれる方へ相談しお願いをして回っただけです。
無事にファッションショーが成功したのは、
その場に参加してくれた皆さんのお陰なのです。
こうしたエキサイティングな状況を、一番眺めの良い席で目撃する事が出来る。
そんな今のこの立場には、大変満足しています。
CETを経験していなければ、絶対に出来なかった事ばかりですから。
そういった方々との出会いも含めてです。
本当に皆さんの大きなパワーを、感じる経験となりました。
黒子という立場。かなり面白いんです。
常に伴うのは愛と冒険、
映画を見る以上の感動をここに感じています。
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シミズヨシユキ